化粧品OEMは本当に儲かる?利益率と成功のポイントを解説

目次

化粧品OEMは儲かるの?

OEM(Original Equipmennt Manufacturer)は、他社ブランドの商品設計、製造するビジネスモデルです。例えば、化粧品メーカーが開発した商品を、自社のパッケージデザインに変更して販売するケースも該当します。

化粧品業界ではOEMが普及しており、本当に儲かるのか気になっている方も多いかと思います。

OEM化粧品は収益を上げやすい要因が複数ある一方、注意点があります。

OEM化粧品は価格競争を回避しやすい

市販の一般的な化粧品とは異なり、OEM製品は自社の店舗やオンラインショップなど独自の販売経路で流通することが多いです。そのため、希少性が高まり、購入につながりやすくなります。

さらに、オリジナル商品は市場に出回る数が限られるため、大手メーカーのような価格競争に巻き込まれにくく、利益率を維持しやすい点で「儲かりやすい」と言えます。

設備投資が不要で参入しやすい

OEMは自社で工場や製造設備を用意する必要がなく、少ない資本で化粧品ブランドを立ち上げることが可能です。初期投資が不要な点は「儲かりやすい」と言えるでしょう。

また、OEMメーカーのなかには、化粧品の開発・製造・販売に関するすべての工程をサポートしてくれる企業もあります。信頼できるOEMメーカーと提携できれば、成功する可能性が高まります。

仕入れ品よりも利益率が高い

一般的な仕入れ販売では、流通過程における中間マージンが発生し利益は圧迫されがちです。

一方、OEMを採用すれば中間マージンを削減できるため、一般的な仕入れ販売と比べて高い利益率を確保できます。

注意点:広告宣言費が高額になりやすい

「化粧品は原価率が低いから儲かる」と思われがちですが、実際には広告宣伝費が大きな負担となることが多いです。

特に、OEM商品の場合、すでにネームバリューのある仕入れ品の販売と違って、一からブランディング・マーケティングが必要なため、広告宣伝費が高額になりやすいです。そのため、利益を確保するためには、適切な原価率の設定が不可欠です。

一般的に、化粧品業界の原価率は10〜20%と言われています。上場企業の決算書などを参考にしながら、適切なコスト管理を行うことが重要です。

化粧品OEMの利益率の相場

化粧品OEMの利益率は、一般的に20%〜40%程度が現実的な範囲とされています。ただし、企業の規模、製品の種類、取引条件によっては、この範囲を超えるケースもあります。

小ロットの場合の利益率

初めて化粧品OEMを活用する場合、大量の在庫を抱えるリスクを避けるため、小ロットでの生産を検討するケースが多いです。

化粧品OEMの最小ロットは一般的に1,000個程度ですが、それ以下のロットに対応するメーカーも存在します。ただし、小ロットでは1個当たりの原価が高くなるため、利益率は5%前後、またはそれ以下になることが少なくありません。

予算に余裕がある場合は、大ロット(経済ロット)での生産を検討するのが合理的です。生産単価が下がるため、利益率の向上につながる可能性が高くなります。

費用の内訳

化粧品OEMにおけるコストは、大きく分けて以下の項目から構成されます。

費用項目内容
バルク(中身)化粧品の成分や製造方法によって価格が変動。高価な成分を多く含むほどコストが高くなる。
容器素材によって価格が変動。また、オリジナルデザインや印刷カラー数の増加もコストを押し上げる要因になる。
その他資材化粧箱は1,000個単位の発注が一般的。特殊な印刷や高級紙を使用するとコストが上昇する。
ラベル製造も1,000枚からの発注が一般的で、小ロットほど単価が高くなる傾向がある。

ロット数で単価が左右されるため、予算や販売戦略を考慮した最大値でのロット数の発注が化粧品OEMの利益率を向上させる鍵になります。

また、OEMメーカーの既存処方や既存パッケージを活用することでも、単価を抑えることができます。利益率を最大化するための戦略を立てながら、OEMビジネスに取り組みてください。

原価を抑えるコツを2つ紹介

化粧品OEMでは、適切なコスト管理が利益率向上の鍵になります。以下の2つのポイントを押さえることで、無駄なコストを削減し、競争力のある価格設定が可能になります。

①原材料の選定でコストを抑える

化粧品OEMでは、使用する原材料の選び方によってコストが変動します。以下の点に注意しながら選定することで、原価を抑えることが可能です。

バルク(中身)を工夫する

化粧品の中身(バルク)は成分や製造方法によって価格が異なります。高価な成分を多く含むほどコストが上がるため、OEMメーカーがすでに持っている処方を利用する方が費用が抑えられます。

コストを抑えた容器を選ぶ

容器の種類によってもコストが変わります。プラスチック容器は安価でコストを抑えやすい一方、ガラスや厚みのある樹脂容器は高額になりがちです。

また、オリジナルデザインの容器は製造コストが上がるため、OEMメーカーが提供する既存の容器を活用するとコストダウンにつながります。

②OEMメーカーとの価格交渉を成功させる

OEMメーカーとの交渉は、化粧品OEMビジネスの利益率を大きく左右する重要なプロセスです。ただ値下げを求めるだけでは、メーカーとの関係が悪化する可能性もあります。交渉を成功させるためには、事前の準備を活かしながら、OEMメーカーにとってもメリットのある提案をすることが大切です。

交渉前に確認したい項目

 ●他社製品の価格や品質 → 自社の希望価格が適正かどうか、説得材料にする
 ●競合他社のOEM契約条件 → 「他社ではこういう条件で供給されている」と比較材料にする
 ●業界標準の利益率 → 妥当な価格設定を理解し、交渉の根拠とする
 ●OEMメーカーのコスト要因→ 削減できる部分があるかを見極める
 ●新技術や原材料の価格動向 → 最新のコストメリットを交渉材料にする

実際の交渉の進め方

価格交渉では、単なる値下げ要求ではなく、市場データや原価分析を活用し、OEMメーカーにとってもメリットのある提案をすることが重要です。交渉の目的を明確に伝え、柔軟な代替案を示すことで、双方にとって最適な条件を引き出すことができます。

また、OEMメーカーの強みとマッチする提案や、大量発注や長期契約の提案を行うと、価格交渉に応じてもらいやすくなります。

例:「市場価格を調べた結果、競合メーカーは貴社より20%低いコストで同等品質の製品をOEM提供しています。貴社の強みは品質管理ですが、価格面でも競争力を高める方法はありますか?」

例:「この部材を変更すれば、原材料コストを5%削減できます。また、年間契約を結べば、設備稼働率が上がり貴社の生産効率が向上するのではないでしょうか?」

化粧品OEMで儲からない理由

化粧品OEMビジネスは、適切な戦略を立てなければ利益を出しにくい業界です。以下のポイントを押さえ、失敗しやすい原因を回避することが成功の鍵となります。

競争の激しさと市場飽和

化粧品業界は、大手ブランドや人気商品が市場を占めているため、競争が非常に激しいのが特徴です。

 ●ブランド認知度が低いと売上が伸びにくい
 ●他社製品との差別化ができていないと、埋もれてしまう
 ●市場に似たような商品が多すぎて、新規参入が難しい

成功するためには、独自のコンセプトや強みを持ち、市場で差別化を図ることが不可欠です。

ターゲットの不明確さ

「誰に向けて販売するのか」が明確でないと、売上につながりません。以下のような問題があると、商品が売れにくくなります。

 ●ターゲット層が明確でない
 ●ターゲット層に響くコンセプトやデザインになっていない
 ●適切な販売チャネルや広告戦略が取れていない

明確なターゲット設定を行い、市場調査を基に最適なアプローチを考えることが重要です。

マーケティング不足と認知度の低さ

 ●広告宣伝が不十分だと、顧客に認知されない
 ●ネーミングやパッケージデザインの工夫が足りないと、魅力を感じてもらえない
 ●SNSや口コミの活用が不足していると、購入につながりにくい

マーケティング戦略をしっかり立て、効果的なプロモーションを行うことが成功の鍵となります。

価格設定のミス

適切な価格設定を行わなければ、顧客の購買意欲に影響を与えます。

 ●価格が高すぎると、購入のハードルが上がる
 ●価格が安すぎると、ブランド価値が下がり利益が出にくい
 ●競合商品と比べて価格が適正でないと、選ばれにくくなる

ターゲット市場と製品価値に見合った適切な価格設定を行い、適正な利益率を確保することが重要です。

品質問題とリピート率の低下

一度購入しても、品質が期待以下だとリピート購入につながりません。

 ●品質管理が不十分だと、クレームや返品が増える
 ●リピート率が低いと、安定した売上が確保できない
 ●顧客のフィードバックを反映できていないと、長期的な成功が難しい

品質管理を徹底し、顧客満足度を向上させることがリピート率アップのカギとなります。

販売チャネルの限定と流通不足

販売チャネルが限られていると、商品を多くの顧客に届けることが難しくなります。

 ●オンラインショップのみでは、認知度が低くなりがち
 ●店舗販売を行わないと、リアルでの購入機会が減る
 ●卸売を活用しないと、大量販売が難しい

ECサイト・店舗・卸売など複数の販売チャネルを活用し、販路を広げることが必要です。

顧客対応の不足と信頼低下

顧客対応が不十分だと、ブランドの信頼性が低下し、リピート率にも悪影響を及ぼします。

 ●問い合わせ対応が遅いと、顧客の不満が増える
 ●購入後のフォローがないと、リピート率が下がる
 ●顧客の声を反映した改善ができていないと、ブランドの成長が止まる

丁寧で迅速な顧客対応を心がけ、信頼されるブランドを築くことが重要です。

化粧品OEMで儲かるには何をしたらいい?

化粧品OEMで成功し、安定した利益を確保するためには、戦略的なアプローチが不可欠です。以下のポイントを、競争の激しい市場で成果を上げる参考にしてください。

市場調査とターゲット設定

成功の第一歩は、市場のニーズを正しく把握し、ターゲットを明確にすることです。

ターゲット市場の特定

 ●どの層に向けた化粧品を作るのかを明確にする
 ●年齢層・肌質・ライフスタイルなどを考慮し、ターゲットのニーズを分析

最新トレンドの分析

 ●SNSや美容メディアを活用し、最新の美容トレンドを把握
 ●クリーンビューティー、ヴィーガンコスメ、SDGs対応など、成長分野に注目

ターゲットに響くコンセプトを作ることが、売上の鍵を握ります。

高品質な製品開発と差別化戦略

競争の激しい化粧品市場では、競合他社と差別化を図ることが成功のポイントです。

品質管理の徹底

 ●高品質な原材料を使用し、厳格な品質管理を行うことで信頼性を向上
 ●顧客満足度を高め、リピート率を向上させる

独自の成分や製法の開発

 ●特許技術や独自処方を活用し、差別化を図る
 ●競合商品と明確な違いを作り、ブランド価値を高める

「この商品でなければならない」という理由を作ることが、売れる化粧品を生み出すカギです。

コスト管理と利益率の最適化

利益を確保するためには、コスト管理と適切な価格設定が重要です。

コスト削減のポイント

 ●OEMメーカーの既存処方や既存パッケージを活用し、開発費を抑える
 ●最適なロット数で生産し、原価を低減する(小ロットすぎると単価が上がるため注意)

適正な利益率の確保

 ●競争力のある価格設定を行いながら、適正な利益率(目安として10%~15%)を維持

コスト削減と品質のバランスを取りながら、利益を最大化させることが重要です。

効果的なマーケティング戦略

化粧品はブランドの認知度が売上に直結するため、積極的なマーケティングが不可欠です。

ブランドの認知度向上

 ●SNSや動画広告を活用し、ターゲット層にリーチするプロモーションを実施
 ●自社ECサイトやAmazon、楽天などのプラットフォームを活用

インフルエンサーや美容専門家との提携

 ●影響力のあるインフルエンサーとコラボし、口コミを拡散
 ●美容専門家の監修を受けることで、信頼性を向上

「認知度がなければ売れない」という前提を意識し、積極的なマーケティングを展開してください。

販売チャネルの多様化

販売ルートを増やすことで、売上の拡大と安定化を図れます。

ターゲットに合った販路選び

 ●ECサイト(Amazon・楽天・自社サイト):コストを抑えて広範囲の顧客にリーチ
 ●実店舗販売(ドラッグストア・百貨店・セレクトショップ):ブランド価値向上
 ●美容サロンやクリニックへの卸売:専門市場での販売拡大

マルチチャネル戦略の活用

 ●オンラインとオフラインを組み合わせて相乗効果を狙う
 ●公式サイトで情報を発信しながら、実店舗でテスター体験を提供

複数の販売チャネルを持つことで、売上を安定させることができます。

ブランド価値の向上とリピーター獲得

リピーターを増やすことが、長期的な利益を生み出すカギになります。

顧客の声を活かした製品開発

 ●事前にモニター調査を行い、リアルな声を製品に反映
 ●顧客のニーズに合った改善を繰り返し、ブランドへの信頼を高める

アフターサービスの充実

 ●定期購入プランや会員特典を提供し、リピート率を向上
 ●購入後のフォローアップメールやカスタマーサポートを強化

顧客との関係を深めることで、「選ばれ続けるブランド」を築くことが大切です。

法規制の遵守と認証取得

法規制をクリアし、信頼性を確保することも成功のポイントです。

各国の化粧品規制に対応

成分や表示に関する規制を遵守し、トラブルを回避

信頼性を高める認証取得

 ●オーガニック認証・ハラール認証などを取得し、差別化
 ●環境やエシカル消費に配慮した製品を提供

消費者の安心感を高めることで、ブランドの信頼性が向上します。

持続可能なビジネスモデルの構築

長期的に成長するためには、環境や社会に配慮した取り組みも重要です。

環境に優しい製品・パッケージの採用

 ●リサイクル可能な容器やエコフレンドリーな原材料を使用
 ●SDGsを意識したブランド展開を行う

CSR活動を通じたブランド価値向上

 ●社会貢献活動やチャリティ企画を実施し、企業イメージを向上

持続可能な取り組みを行うことで、ブランドの評価が高まり、長期的な成長につながります。

まとめ

化粧品OEMで成功するには、市場調査を徹底し、ターゲット層に合った製品を開発することが重要です。品質管理やコスト削減を工夫しながら、ブランドの差別化を図りましょう。効果的なマーケティングや販売チャネルの多様化を進め、リピーターを獲得することで、安定した利益が見込めます。さらに、法規制の遵守や持続可能なビジネスモデルを構築することで、長期的な成長が可能になります。適切な戦略を立て、競争の激しい市場で成功を目指してください。

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