化粧品OEMにおける販売に関する許可:取得要件とOEM形態別の注意点

化粧品業界に参入するには、製造や販売に関する許可を取得し、薬機法などの法規制を正しく理解することが不可欠です。

特にOEMを活用する場合、委託側とOEMメーカーの許可の違いや、必要な手続きの把握が重要になります。

本記事では、化粧品の製造・販売に関する許可の種類、OEMの活用方法、薬機法の規制内容をわかりやすく解説します。

目次

化粧品OEMとは?市場動向と参入のメリット

化粧品業界は、常に新しいトレンドが生まれ、消費者のニーズも多様化している魅力的な市場です。近年では、パーソナライズ化やオーガニック志向など、より個性的で高品質な製品が求められる傾向にあります。

このような市場で注目されているのが、OEM(Original Equipment Manufacturing)による化粧品開発です。OEMとは、自社ブランドの化粧品を、企画・開発から製造までを専門のOEMメーカーに委託するビジネスモデルです。

OEMを活用することで、自社で製造設備を持たなくても、専門的な知識や技術を持つOEMメーカーのサポートを受けながら、高品質なオリジナル化粧品を開発・販売できます。初期投資を抑え、リスクを軽減しながら、市場の変化に柔軟に対応することも魅力の1つです。近年化粧品OEMの市場規模はますます拡大しています。

化粧品販売許可の種類と取得要件

化粧品を製造し、販売するには「化粧品製造販売業許可」「化粧品製造業許可」の2種類の許可が必要です。

無許可で化粧品を製造したり、製造販売した場合、300万円以下の罰金、または3年以下の懲役が科されるため、注意が必要です。加えて、回収費用が発生すると経済的な負担が大きくなる可能性もあります。

化粧品製造販売業許可

化粧品製造販売業許可とは、化粧品を市場に流通させる際に必要な許可です。化粧品の販売をお考えの方は計画的に化粧品製造販売業の許可申請を進めてください。

営業所が複数ある場合

総括製造販売責任者がいる事業所の所在地を管轄する都道府県知事に申請を行います。
ただし、他社が製造した化粧品を仕入れて販売するだけであれば、申請は不要です。

許可を取得するための要件

化粧品製造販売業許可を得るには、以下の条件を満たす必要があります

 ●申請者が欠格事由に該当しないこと
 ●GQP(製造販売品質保証基準)省令に適合していること
 ●GVP(製造販売後の安全管理基準)省令に適合していること
 ●総括製造販売責任者を設置すること

化粧品製造業許可

化粧品製造業許可とは、化粧品を製造する業者が取得しなければならない許可です。ただし、販売を行う場合は化粧品製造販売業許可も併せて取得する必要があります。

また、輸入後に税関を通過した化粧品を一時保管する場合も、許可が必要です。
化粧品製造業許可には「一般区分」と「包装・表示・保管」の2種類があり、製造所ごとに必要な区分の許可を取得する必要があります。

許可を取得するための要件

化粧品製造業許可を得るためには、以下の条件を満たすことが求められます。

 ●申請者が欠格事由に該当しないこと
 ●責任技術者を設置すること
 ●製造所の構造設備が「薬局等構造設備基準」に適合していること

個人でも許可を取得できる?

化粧品製造販売業許可を取得すると、完成した化粧品を流通・販売できる一方で、市場に出回る商品の品質や安全性の管理も求められ、万が一トラブルが発生した際は、全責任を負うことになります。

個人で申請することも可能ですが、法人と同様に以下の表示義務があります。

 ●製造販売業者の氏名
 ●住所
 ●問い合わせ先(電話番号など)

海外の化粧品を個人輸入し、消費者に直接配送する場合や、OEMメーカーに製造を委託し、自社ブランドとして販売する場合に「化粧品製造販売業許可」を取得する必要があります。

また、海外製の化粧品を輸入後、包装や表示を変更し、倉庫で保管した上で販売する場合は、「化粧品製造業許可(包装・表示・保管区分)」の取得が必要です。単なる輸入販売とは異なるため、注意が必要です。

許可が不要な販売方法とは?

化粧品を販売するには、通常「化粧品製造業許可」と「化粧品製造販売業許可」が必要です。しかし、これらを取得するには専用の製造施設や専門の管理者が必要となり、コストや運用負担が大きくなります。そこで、上記の販売許可なしでオリジナル化粧品を作れる方法として「化粧品OEM」が注目されています。

OEMメーカーはすでに必要な許可を取得済みのため、事業者自身が許可を取る必要はありません。また、薬機法にも精通しているため、成分の安全性や表示の適正性を確保しながら、スムーズに商品化できます。

OEMを活用すれば自社で製造設備を用意する必要がなく、品質管理や法規制の対応もメーカーが担うため、開発に専念できます。さらに、小ロットからの生産が可能なメーカーもあり、テスト販売や市場調査もしやすくなります。

オリジナルコスメを作りたいけれど、許可の取得はハードルが高いと感じるなら、まずは信頼できるOEMメーカーを見つけることが近道となります。

OEM形態別にみる許可の有無と注意点

OEMメーカーに製造を委託すると取得すべき許可が少なくなりますが、OEMにもさまざまな形態があります。
一般的なOEMの形態別に委託側(ブランド企業)・受託側(OEMメーカー)に必要な許可について説明します。

OEMメーカーに製造から製造販売まで委託

 製造から市場への出荷まで、すべてOEMメーカーに委託する方法です。委託側の負担が最も少ない形態ですが、製品のラベルには「発売元(委託側)」と「製造販売元(OEMメーカー)」の両方が記載されます。

 ●委託側(ブランド企業):不要
 ●受託側(OEMメーカー):化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可(一般)

OEMメーカーに一貫製造を委託

バルク(中身)の製造からラベル貼り・検品までをOEMメーカーに委託し、市場への出荷は委託側が行う方法です。この場合、ラベルにはOEMメーカーの情報は記載されません。

必要な許可

 ●委託側(ブランド企業):化粧品製造販売業許可
 ●受託側(OEMメーカー):化粧品製造業許可(一般)

OEMメーカーにバルク製造から充填まで委託

バルク製造と容器への充填をOEMメーカーに依頼し、ラベル貼り・包装・在庫管理を委託側で行う方法です。OEMコストを抑える目的で、この形態を選ぶケースもあります。

必要な許可

 ●委託側(ブランド企業):化粧品製造販売業許可、化粧品製造業許可(包装・表示・保管)
 ●受託側(OEMメーカー):化粧品製造業許可(一般)

OEMメーカー選定のポイント

OEMを活用する上で最も重要なのは、適切なOEMメーカーを選ぶことです。
 信頼できるパートナーを見つけるのはもちろん、自社に最適なOEMメーカーを選ぶためのポイントを3つ紹介します。

自社の要求水準を満たしているか?

まず確認すべきなのは、OEMメーカーが委託側の要望に対応できるかどうかです。過去の製造実績や評判を調べることで、ある程度判断できます。以下のポイントを参考に調べてみて下さい。

チェックポイント

 ●必要な設備や技術があるか?(希望する化粧品の製造が可能か)
 ●必要量(ロット)を適切に生産できるか?
 ●コストが適正か?
 ●付加価値の高い化粧品を作るノウハウがあるか?
 ●他社にはない得意分野は何か?

必要な許可を持っているか?

OEMメーカーが、化粧品の製造・販売に必要な許可を持っているかを確認することも重要です。ほとんどのOEMメーカーは化粧品製造業許可を持っていますが、化粧品製造販売業許可を持っていないOEMメーカーもあります。OEMメーカーが化粧品製造販売業許可をもっていない場合、ブランド側で取得する必要があります。

製造以外の強みはあるか?

OEMメーカーの強みは製造技術だけではありません。付加価値を提供できるかどうかも重要な判断材料になります。企業によって強みが異なりますので、自社が求めるサポート内容に合致しているか確認してみて下さい。

OEMメーカーのサポート例

 ●商品企画の提案(市場調査やトレンド分析を活用)
 ●化粧品のPR支援(マーケティング戦略の立案)
 ●販売促進のサポート(販路拡大のアドバイス)

関連法規:薬機法について

薬機法は、化粧品の品質・有効性・安全性を守り、消費者の健康を保護するための法律です。

製造販売業者は、市場に出回る商品の品質と安全性について最終的な責任を負います。たとえOEMメーカーを利用しても、この責任がなくなるわけではありません。そのため、OEMメーカーと密に連携し、薬機法に適合した商品を提供することが重要です。

具体的には、

 ●成分・表示・製造工程・品質管理のチェック
 ●必要に応じたOEMメーカーへの改善要請
 ●安全性に関する情報の収集と適切な対応

といった取り組みが求められます。

また、薬機法では、

 ●品質管理の徹底
 ●安全性情報の管理
 ●正しい表示と広告ルールの遵守

などが義務付けられています。これらを守ることで、消費者に安心・安全な化粧品を届けることが企業の責任となります。

まとめ

化粧品の製造・販売には、薬機法をはじめとする厳格なルールが存在します。適切な許可を取得し、安全性や品質の確保、適正な表示・広告を遵守することが求められます。特にOEMを活用する場合は、委託する企業の許可状況を確認し、自社に必要な手続きを理解することが重要です。化粧品ビジネスを成功させるには、法規制を正しく把握し、信頼できるOEMメーカーと協力することがカギとなります。

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